「キノはどうして旅を続けているの?」
「ボクはね、たまに自分がどうしようもない、愚かで矮小な奴ではないか?ものすごく汚い人間ではないか?なぜだかよく分からないけれど、そう感じるときがあるんだ。……でもそんな時は必ず、それ以外のもの、例えば世界とか、他の人間の生き方とかが、全て美しく、素敵なものの様に感じるんだ。とても、愛らしく思えるんだよ……。ボクは、それらをもっともっと知りたくて、そのために旅をしている様な気がする」
―――短編連作の形で綴られる人間キノと言葉を話す二輪車エルメスの旅の話。今までにない新感覚ノベルが登場!
「だからといって、旅を止めようとは思わない。それをしてるのは楽しいし、たとえば人を殺める必要があっても、それを続けたいと思えるしね。それに」
「それに?」
「止めるのは、いつだってできる。だから、続けようと思う」
(P.12)
銃使いの旅人・キノと言葉を話すモトラド(空を飛ばない二輪車のこと)・エルメスの旅の物語。
短編連作という変わった形式のライトノベルで、旅人が色々な国に立ち寄るのが基本スタイル。
この世界には多種多様な「国」が混在しています。各話には「人の痛みが分かる国」「多数決の国」「大人の国」など、その国の特徴を示すタイトルがつけられています。
個人的に好きなのは『コロシアム』と『大人の国』の二つです。
『コロシアム』
入国するやいなや、『市民権』獲得のための殺し合いに参加させられることになったキノ。コロシアムで催される、トーナメント式の闘技で勝ち進むキノは……みたいな話。
キノがしたいことは何なのか、心情描写が皆無なのでとても複雑です。
『大人の国』
とある国にやってきた旅人・キノと、そこに住んでいる女の子の話。
『キノの旅』全シリーズの中でもかなり異色です。ちなみにアニメ化されたときは最終話でした。
『キノの旅』は、決してハッピー・エンドでは終わりません。その国が持つ暗さを指し示したりするのがほとんどです。
無理やり「よかったね」で終わらせても、それが誰かの死の上で成り立っている、そんな話ばかり。
どの話も、それぞれのおもしろさを感じられると思います。
ただ『平和な国』を最後に持ってきたのは何故だろうとは思いましたが。
『キノの旅 -TheBeautifulWorld- (2)』 』 作者/時雨沢恵一 (中中) 電撃文庫 イラスト/黒星紅白 |
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writer:ソラカケ →bk1/→Amazon | |
キノとエルメスの旅は終わらない――。 キノは帽子をかぶり、ゴーグルをはめた。エルメスのエンジンをかける。 銃使いの旅人・キノと言葉を話すモトラド(空を飛ばない二輪車のこと)・エルメスの旅の物語。 内容は……前作に引き続きオムニバス形式です。 お気に入りのストーリーは……『絵の話』−Happiness−ですかね。最初はいつものような調子の話なのですが、本の最後のところにちょっとしたボーナストラックが収録されていて……前作を読んでいた人は「お?」と思うでしょう。 あとがきは……なんというか…… |
『キノの旅 -TheBeautifulWorld- (3)』 作者/時雨沢恵一 (中下) 電撃文庫 イラスト/黒星紅白 |
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writer:ソラカケ →bk1/→Amazon | |
話題の新感覚ノベル第3弾、早くも登場!人間キノと言葉を話す二輪車エルメスの旅のお話。キノとエルメスがまだ師匠の元にいたころ。ある日、キノたちが暮らすところに3人の山賊達がやって来た!? (「説得力―Persuader―」)をはじめ、「城壁のない国」「同じ顔の国」「機械人形の話」「差別を許さない国」「終わってしまった話」全6話を収録。口絵には、大人気黒星紅白描くイラストノベルを掲載。話題の新感覚ノベル第3弾、早くも登場! 「あの国だったら、また遊びに来てもいいな」 銃使いの旅人・キノと言葉を話すモトラド(空を飛ばない二輪車のこと)・エルメスの旅の物語。 冒頭からシズストーリー。でもあんまりインパクトがないです。今作は『雲の中で』と『城壁のない国』以外はどれも印象に残らなかった感が。特に『機械人形の話』なんか読んだ記憶が早くも薄れています。 『城壁のない国』は、タイトルから平和な国かなー?と思っていたら、なんか雰囲気が違う。読み進めると突然事態が急展開。最後の最後はなんともいえません。ブラックだなー、って感じ。 あとがきは……うーん、作者が変な人にしか思えてこない。 上にも書いたけど、他に比べて多少物足りない気分。でもまぁ、短編ゆえにどの巻でどう転ぶかわからないのが『キノ』。 |
『キノの旅 -TheBeautifulWorld- (4)』 作者/時雨沢恵一 (中下) 電撃文庫 イラスト/黒星紅白 |
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writer:ソラカケ →bk1/→Amazon | |
歌声が聞こえる。 そこは、紅い世界だった。一面に紅い花が咲き乱れ、隙間なく大地を埋め尽くしている。 人間キノと言葉を話す二輪車エルメスの旅のお話。短編連作の形で綴られる、大人気新感覚ノベル第4弾! そしてそれが終わった時、最初に聞こえた声が訊ねる。 銃使いの旅人・キノと言葉を話すモトラド(空を飛ばない二輪車のこと)・エルメスの旅の物語。 うーん……なんかやっぱり押しが足らない気がするなぁ。『分かれている国』とか『認めている国』とかはそこそこ楽しめたのだけれど。やっぱりショートストーリー(10ページ以内)があまりおもしろくなかったからかな?『塔の国』や『ぶどう』とかは微妙だったし、『像のある国』に関しては何が言いたかったかもわからない。 どれが一番いいか、と言われたら『伝統』かなぁ?話自体はそっけないモノなんだけど、一番最後の挿絵がかわいかったから。以上。 |
『キノの旅 -TheBeautifulWorld- (5)』 作者/時雨沢恵一 (中中) 電撃文庫 イラスト/黒星紅白 |
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writer:ソラカケ →bk1/→Amazon | |
そう――。 美しいと思うから 美しいと思う 銃使いの旅人・キノと言葉を話すモトラド(空を飛ばない二輪車のこと)・エルメスの旅の物語。 口絵の小話に続く二話目からいきなり『人を殺すことが出来る国』。 不思議なことが一つ。同じタイトルがあります。第四話と第五話。どちらもタイトルは『英雄達の国』。サブタイトルは微妙に違うけれど……。 そのほかの話について言えば……師匠ずっとこの調子なんですね。 |
『キノの旅 -TheBeautifulWorld- (6)』 作者/時雨沢恵一 (上下) 電撃文庫 イラスト/黒星紅白 |
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writer:ソラカケ →bk1/→Amazon | |
よくない道だねえ、と走ってきたモトラドが言った。後輪の脇には箱が、上には大きな鞄と丸めた寝袋とコート。旅荷物をたくさん積んだモトラドだった。でもやっぱりこれは近道だよと、モトラドの運転手が言った。黒いジャケットを着て、帽子とゴーグルをした十代中頃の若い人間だった。腰を太いベルトで締めたジャケットの前合わせは、初夏の風が入るように大きく開けていた。その下に、白いシャツを着ていた。人間キノと言葉を話す二輪車エルメスの旅の話。短編連作の形で綴られる、大人気新感覚ノベル第6弾。 |
『キノの旅 -TheBeautifulWorld- (7)』 作者/時雨沢恵一 (上下) 電撃文庫 イラスト/黒星紅白 |
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writer:ソラカケ →bk1/→Amazon | |
―モトラド(注・二輪車。空を飛ばないものだけを指す)の反対側で、運転手が草の上に座っていた。両足を前に出して、後ろに手をついて、そして空を見上げていた。春の暖かい太陽に、蒼い空を背景にいくつかの雲が流れていく。運転手は十代中頃で、短い黒髪に精悍な顔を持つ。黒いジャケットを着て、腰を太いベルトで締めていた。―人間キノとモトラドのエルメスは“動いている国”に出会い入国する。その“動いている国”が進む先には“道をふさいでいる国”があった(「迷惑な国」)。他全8話収録。短編連作の形で綴られる、新感覚ノベル第7弾。 |